なぜ靴紐は自然にほどけてしまうの?
動画の内容

歩いているだけなのに、気づいたら靴紐がほどけていた。そんな経験ありませんか?

実はこれ、歩くたびに加わる2つの力が同時に働くことで起きているんです。

一つは着地の衝撃で結び目がわずかに緩む『衝撃』、もう一つは足を振り出す時に紐を引っ張る『慣性』の力です。

この2つが何十回、何百歩と繰り返されるうちに、結び目は少しずつ緩んでいき、ついにはほどけてしまうんです。

だから靴紐は、しっかり二重結びにするだけでほどけにくくなりますよ。
もう少し詳しく
研究で確かめられた「2つの力」
靴紐がほどけるしくみは、2017年にカリフォルニア大学バークレー校の研究チームが詳しく調べています。トレッドミルで走る人の足元をスローモーションで撮影し、結び目に何が起きているのかを観察しました。
足が地面につく瞬間、結び目の根もとには重力のおよそ7倍もの加速度がかかり、結び目が押しつぶされては戻る動きをくり返します。そこへ、足を前後に振る動きで紐の端(輪になっていない部分)がムチのように振られ、外へ引っぱられます。
おもしろいのは、座って足を振るだけ、またはその場で足踏みするだけでは、同じ回数をくり返してもほどけなかったことです。衝撃と振りの両方がそろって、はじめてほどけるというのが研究の結論でした。
「少しずつ」ではなく「ある時いきなり」
動画では、何百歩も歩くうちに結び目が少しずつゆるんでいく、と紹介しました。たしかに、ほどけるまでに多くの歩数がかかることはあります。ただ観察では、しばらくはほとんど変化がなく、いったんゆるみ始めると1〜2歩のうちに一気にほどけていました。
ゆるんで紐の端が長くなるほど、端を引っぱる力は強くなり、反対に輪のほうは小さくなって踏んばれなくなります。この差が雪崩のように広がるため、「さっきまで平気だったのに」という突然のほどけ方になるのです。
結び方でほどけやすさが変わる
ふつうの蝶結びには、研究で「強い結び」「弱い結び」と呼ばれた2種類があります。違うのは、最初の片結びに対して、2段目をどちら向きに重ねるかだけです。
- 強い結び: 2段目が1段目と逆向き。結び目が平らに落ち着き、輪が横向きにそろいやすい。
- 弱い結び: 2段目が1段目と同じ向き。結び目がねじれ、輪が縦向きになりやすい(いわゆる「縦結び」)。
実験では、弱い結びのほうがずっと速く、ずっと高い割合でほどけました。結んだあとに輪が縦を向いているなら、最初の片結びの向きを逆にしてみるとよいでしょう。ただし強い結びでも、条件しだいではいずれほどけることがあります。
「二重結び」について
動画では「二重結びにするとほどけにくくなる」と紹介しました。二重結びは昔からよく使われる方法ですが、今回の研究で比べたのは上の2種類の結び方で、二重結びの効果は調べていません。研究から言えるのは、まず土台を強い結びにすること、そしてしっかり締めることです。大学の発表でも、きつく結んだ紐は、ほどけるまでに1日ぶんの歩行を上回るほどのくり返しが必要になる場合がある、と述べられています。
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出典・参考資料
- The roles of impact and inertia in the failure of a shoelace knot(Daily-Diamond C.A., Gregg C.E. & O'Reilly O.M., Proceedings of the Royal Society A, 2017)
- Shoe-string theory: Science shows why shoelaces come untied(UC Berkeley(Berkeley News))



