なぜ観葉植物は夜になると葉を閉じるの?
ひとことで言うと
マメ科やカタバミなど一部の植物は、葉の付け根にある「葉枕」の細胞で水を出し入れし、体内時計のリズムに合わせて夜に葉を閉じます。ただ、何のために閉じるのかは、まだはっきりわかっていません。
YouTubeで見る動画の内容

カタバミやマメ科の植物、夜になると葉が閉じているのを見たことありませんか?

実はこれ、葉の付け根にある小さな細胞のしくみによるものなんです。

そこには『葉枕(ようちん)』という組織があり、水分の出し入れで葉の角度を変えているんです。

夜に葉を閉じることで、体温の低下や虫による食害を防いでいると考えられています。

植物にも、私たちと同じように休むリズムがあるのかもしれませんね。
もう少し詳しく
夜に葉を閉じるのは「一部の植物」
夜になると葉を閉じたり、立てたりする動きは「就眠運動」と呼ばれます。いちばん多く見られるのはマメ科の植物で、ネムノキやオジギソウ、クローバーなどが代表です。マメ科以外でも、カタバミの仲間や、観葉植物として人気のカラテア・マランタの仲間などで見られます。
ただし、すべての観葉植物が葉を閉じるわけではありません。ポトスやモンステラのように、夜になっても見た目がほとんど変わらない植物もたくさんあります。動画のタイトルは「観葉植物は」と広く言っていますが、「葉を閉じるタイプの植物は」と読みかえてもらうと正確です。
葉枕の中で、水が行ったり来たり
就眠運動をする植物の多くは、葉の付け根に「葉枕(ようちん)」という少しふくらんだ部分を持っています。ここには、ふくらんだり縮んだりできる「運動細胞」が集まっています。
細胞からカリウムイオンや塩化物イオンが外へ出ていくと、それにつられて水も出ていき、細胞はしぼみます。反対にイオンと水が入ると、細胞はふくらみます。葉枕の上側と下側で、ふくらむ側と縮む側が入れかわることで、葉が持ち上がったり下がったりするしくみです。2018年には、東北大学などのグループが、このイオンの出入りを担う「通り道」(イオンチャネル)をアメリカネムノキで見つけたと発表しています。
なお、植物によっては葉枕を持たず、葉の表と裏の伸び方の差で葉を動かすものもあります。
合図を出しているのは「体内時計」
葉を開いたり閉じたりするタイミングは、まわりが暗くなったからというだけで決まっているわけではありません。植物の中にある**約24時間のリズム(体内時計)**が、時刻に合わせて運動細胞のはたらきを切りかえています。そのため、ずっと暗い部屋に置いても、しばらくは毎日ほぼ同じ時刻に葉が開いたり閉じたりします。
じつは、生き物の体内時計という考え方そのものが、18世紀にこの就眠運動の観察から始まりました。植物の葉の動きは、生物学の大きな発見のきっかけになったのです。
「なぜ閉じるのか」は、まだ謎のまま
動画では「体温の低下や虫による食害を防いでいる」と紹介しましたが、これは今のところ有力な仮説の一部です。研究者のあいだでは、ほかにも次のような説が出されています。
- 冷たい夜空に向かって熱が逃げるのを減らす(ダーウィンの説)
- 葉の表面についた水を落としやすくする
- 月の光で「夜の長さ」の感じ方が乱れるのを防ぐ
- 葉をすぼめて、夜に活動する虫が食べにくくする
ただ、葉の温度を守る効果は、測ってみると1℃に満たないほど小さかったという報告もあり、どの説も決め手に欠けるのが現状です。
また「眠る」「休む」と表現されますが、動物の睡眠と同じものではありません。葉を動かすには細胞がエネルギーを使ってイオンを運ぶ必要があり、むしろ植物が毎晩せっせと「はたらいている」動きともいえます。
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出典・参考資料
- The functions of foliar nyctinasty: a review and hypothesis(Minorsky P.V., Biological Reviews, 2019)
- Ion Channels Regulate Nyctinastic Leaf Opening in Samanea saman(Oikawa T. et al., Current Biology, 2018)
- ダーウィン以来の謎、就眠運動の仕組みを解明(東北大学・岡山大学(プレスリリース, 2018))
- The power of movement in plants(Darwin C.R., 1880(The Complete Work of Charles Darwin Online))



