なぜハチミツは腐らないの?
ひとことで言うと
ハチミツは水分が少なく糖分がとても濃いため、細菌が使える水がほとんどありません。酸性であることや、薄まったときに過酸化水素を生む酵素もはたらき、細菌やカビが増えにくくなっています。
YouTubeで見る動画の内容

実は3000年前の古代エジプトの遺跡から見つかったハチミツが、今でも食べられる状態で発見されているんです。

なぜハチミツだけ腐らずに何千年も保存できるのか、その秘密は水分の少なさにあります。

ハチミツは糖分の濃度がとても高くて水分がほとんどないので、細菌が繁殖するための水を奪われてしまうんです。

さらにハチが蜜に混ぜる酵素が微量の過酸化水素を作り出し、これも殺菌効果を発揮しています。

高い糖度と天然の抗菌作用、この2つの力でハチミツは腐ることなく何千年も保存できるんです。
もう少し詳しく
細菌が「水を使えない」状態
ハチミツはおよそ8割が糖分で、水分は2割ほどしかありません。しかもその水の多くは糖の分子にがっちり引きつけられていて、微生物が自由に使える水(水分活性)はとても少なくなっています。
さらに、糖が濃い液体に細菌が触れると、浸透圧によって細菌の体から水分が吸い出されます。ジャムや砂糖漬けが日持ちするのと同じしくみです。
酸性と、ハチがくれる酵素
ハチミツは酸性(pHはおよそ3〜4台)で、多くの細菌にとって居心地のよくない環境です。
また、ミツバチが蜜に加える酵素(グルコースオキシダーゼ)は、ブドウ糖から少しずつ過酸化水素を作ります。この酵素は、濃いハチミツの中ではあまりはたらかず、水で薄まったときに活発になるのが特徴です。動画では「過酸化水素が殺菌効果を発揮」と紹介しましたが、正確には「薄まったときに細菌の増殖をおさえる力を発揮する」と考えるとよいでしょう。
「腐らない」けれど、気をつけたいこと
- 湿気を吸うと発酵することがある: フタを開けたままにして水分を吸うと、糖に強い酵母がはたらいて発酵し、酸っぱいにおいや泡が出ることがあります。使ったらしっかりフタを閉めましょう。
- 白く固まるのは傷んだからではない: 寒いと糖分が結晶になって白く固まりますが、品質の問題ではありません(→ なぜ蜂蜜は冷えると白く固まるの?)。
- 1歳未満の赤ちゃんには与えない: ハチミツにはボツリヌス菌の芽胞(休眠状態の菌)が含まれていることがあります。大人の腸では問題になりませんが、腸内環境が整っていない1歳未満の乳児では「乳児ボツリヌス症」を起こすおそれがあるため、厚生労働省も1歳までは与えないよう呼びかけています。「腐らない=菌がいない」ではない、という点は覚えておきたいポイントです。
「3000年前のハチミツが食べられた」話について
古代エジプトの墓から見つかったハチミツが今でも食べられた、という話は雑学として広く知られていて、動画でもこの話から紹介しました。ただ、どの遺跡で見つかり、誰がどのように確かめたのかという記録ははっきりしていません。「ハチミツは長期間傷みにくい」という性質そのものは科学的に説明できますが、この逸話はよく語られる言い伝えとして楽しむのがよさそうです。
あわせて読みたい
出典・参考資料
- A current perspective on hydrogen peroxide production in honey. A review(Brudzynski K., Food Chemistry, 2020)
- Honey: its medicinal property and antibacterial activity(Mandal M.D. & Mandal S., Asian Pacific Journal of Tropical Biomedicine, 2011)
- ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。(厚生労働省)
- ハチミツによる乳児のボツリヌス症(消費者庁)



